研究代表者はモデル植物シロイヌナズナを用いて新規開花制御因子LKP1、LKP2を見い出し研究を行っている。LKP2遺伝子は調べた全ての器官でその発現が認められた。同じファミリーに属するFKF1の遺伝子発現が概日リズムを示すのに対して、葉におけるLKP2のRNAレベルは明暗周期を通じて一定であった。この結果はLKP2の遺伝子発現が概日時計の制御を受けていないことを示している。35Sプロモーター:: LKP2 cDNA形質転換植物体を作製したところ、この植物では連続光下、連続暗所下の両方で、葉の運動や遺伝子発現を指標とした概日リズムが見られなくなった。また、白色光下、赤色光下、あるいは青色光下での胚軸伸長が認められた。更に、この形質転換植物体は長日条件下でも短日条件下で育てた植物体と同時期に抽台・開花するといった開花遅延が認められた。この植物の春化処理による抽台・開花促進は認められなかった。これらの事から、LKP2は概日時計の振動体の内部、或いはそれに非常に関連して機能しているのではないかと考えられる。酵母2ハイブリッドシステムによるLKP2相互作用因子のスクリーニングを行い、1次スクリーニングで220クローン、2次スクリーニングで90クローンを選抜した。更に、阻害剤を用いた3次スクリーニングで14クローン、塩基配列に基づく4次スクリーニング、ベクターとの相互作用を除外する5次スクリーニングの結果、最終的に3クローンを得ることができた。
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