研究課題/領域番号 |
13640657
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
藤原 祥子 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (30266895)
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研究分担者 |
貝瀬 利一 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (20266894)
都筑 幹夫 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (70155430)
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キーワード | ヒ素耐性 / リン酸輸送体 / ヒ酸 / クラミドモナス / 緑藻 |
研究概要 |
申請者らは、これまでに遺伝子タギング法により緑藻Chlamydomonasのヒ酸耐性株(AR3)を作製し、この株ではリン酸とヒ酸の取り込みが野生型と異なっており、野生株に比べ10倍以上ヒ酸に対する耐性が高まっていることを明らかにしてきた。今年度は、遺伝子タグを手がかりに、このヒ酸耐性株AR3の変異の原因遺伝子のクローニングを行った。野生株のゲノムライブラリより得られた12.9kbpのDNA断片は、この変異株の変異形質を完全に相補した。この遺伝子をPTB1と命名した。cDNAライブラリより得られたこの遺伝子に対応するcDNAクローンは全長約6kbpであり、1666のアミノ酸残基よりなる分子量172kDaのポリペプチドをコードしていた。相同性検索の結果、このポリペプチドは酵母のSodium dependent Pi co-transporter Pho89pと有為の相同性を示すが、中央部分にグルタミンとグリシンに富む大きな挿入領域があることがわかった。Chlamydomonasからは、この遺伝子のホモログとして、中央部分の挿入領域を持たない遺伝子(PTB2)もクローニングされている。これら2つの遺伝子の発現調節とヒ酸耐性との関係について調べた。野生株では、PTB1遺伝子の転写は極端に少なく、リン酸欠乏やヒ酸ストレスによってその発現量の変化は見られなかった。PTB2遺伝子は、酵母のSodium dependent Pi co-transporter Pho89pをコードするPHO89遺伝子と高いホモロジーを示し、リン酸欠乏で誘導される遺伝子である。AR3では、常にこのPTB2の発現量が高く、ヒ酸ストレスではさらに高くなった。この遺伝子の発現の変化がヒ酸耐性に大きくかかわっており、PTB1遺伝子はこの遺伝子の発現に関係があることが示唆された。
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