研究概要 |
本研究はマウス胚唾液腺の分枝形成を制御している遺伝子を探索し,その役割から分枝形成機構を明らかにすることを目的としている。平成13年度は分枝形成時に上皮で特異的に発現している遺伝子のスクリーニングをおこなった。 分枝している唾液腺上皮と分枝していない唾液腺上皮との間で発現量に差のある遺伝子を探索するため,単離した唾液腺上皮を基底膜様物質マトリゲルで覆い,一方には培養液にEGFと血清を加えて盛んに分枝させ,他方にはFGF7を加えて分枝をさせずに伸長させた。両者を各100個集め,トータルRNAを抽出し,cDNAを合成し,クローンテック社のキットを用いて両者の間でサブトラクションをおこなった。得られたサブトラクション済み産物をクローニングし,約300クローンの中からFGF7下よりEGF下でより多く発現しているものをドットブロットハイブリダイゼーションにより選択した。選択したクローンのシークエンスをおこない,その部分配列からホモロジー検索をおこなった結果,10個の分枝特異的遺伝子の候補が同定された。 現在,これらの遺伝子が分枝している上皮で特異的に発現していることを確認する作業をRT-PCR法によりおこなっている。今後は,特異的であることが確認された遺伝子に対するDIGラベルプローブを作成し,インサイチュウハイブリダイゼーションをおこない,分枝と相関した発現の局在が観察されるかを調べる予定である。
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