研究概要 |
イトマキヒトデの放射神経抽出液を逆相カラムによる高速液体クロマトグラフィーを繰り返すことで、放卵活性をもつペプチドを精製した。質量分析の結果、ペプチドの分子量は約3200であった。このペプチドがGSS分子と考えられるが、最終的にアミノ酸シークエンサーでアミノ酸配列を分析できるだけの十分な量が精製できてなかったため、イトマキヒトデGSSのアミノ酸配列はまだ明らかでない。現在出発材料を3倍にして、新たに精製を始めているところである。 その他、本研究からGSSによる1-メチルアデニン(1-MeA)生産について以下結果も得られた。 (1)イトマキヒトデ卵巣には哺乳類のゴナドトロピン受容体とホモロジーをもつ糖タンパクホルモンレセプターが存在した。しかしGSSはそのリガンドではなかった。 (2)10種類のN1置換アデニン類を化学的に合成し、ヒトデ卵成熟に対するアゴニストおよびアンタゴニストの作用を調べた結果、1-MeAレセプタータンパクに対する相互作用において、分子内の電荷ばかりでなく、N1置換基の立体的位置関係が重要であることを明らかにした(Comp. Biochem Physiol,2001,130:427-434)。 (3)卵濾胞細胞表面に存在するATP-diphosphohydrolaseの細胞内情報伝達系に対する生理的役割を明らかにした(zool. sci,2001,18:551-557)。
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