研究課題/領域番号 |
13640679
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 勇 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (80025486)
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研究分担者 |
青木 摂之 名古屋大学, 人間情報学研究科, 講師 (30283469)
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キーワード | ミツバチ / サーカディアンリズム / インサイチューハイブリ / 体内時計 / ピリオド遺伝子 / 活動リズム / 生物多様性 / スプライスバリアント |
研究概要 |
昨年度に引き続いて、多種共存系での生物多様性の維持機構の一つと考えられる時間的すみ分けの分子的基盤である時計遺伝子periodの構造と挙動を調査した。前年度にクローニングに成功したニホンミツバチのperiodのvariants分子の形成機構を探るため、period遺伝子のゲノム塩基配列を調べた。その結果、periodのvariantsはmRNAのオルタナティブスプライシングの結果出来るものであると考えられた。これらのvariantsの機能の違いが時間的すみ分けに関与している可能性がある。また、ニホンミツバチのperiod遺伝子mRNAの組織特異的発現パターンを調べた。ニホンミツバチのコロニーをバイオトロン内で飼育し、LD12:12の条件下で2週間同調させた後、4時間おきにミツバチを採集し、各個体の脳、複眼、触覚、筋肉、中腸におけるperiod遺伝子mRNAの発現量をリアルタイムRT-PCR法により測定した。その結果、脳においてはショウジョウバエの脳などで観察されているのと同様の、夜多く昼少ない発現パターンが観察された。逆に、触覚と筋肉では昼に発現量のピークが表れる発現パターンが得られ、複眼や中腸では発現量に昼夜で明瞭な差は得られなかった。また脳におけるperiod遺伝子の平均mRNA量を1とした場合の相対的発現量は複眼、触覚、筋肉、中腸においてそれぞれ025、2.10、10.71、1.38であり、脳以外の組織でも多量のmRNAが発現している事、とりわけ筋肉では10倍以上と非常に多く発現している事が明らかになった。これらの結果から、脳にあると想定させる個体全体のリズムを決定する主時計の他に、各組織にも末端時計が存在しそれぞれの組織のリズムに関わっていると考えられる。
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