研究課題
ATP依存性プロテアーゼはミトコンドリア・マトリックスに局在する酵素であり、そのcDNAの5'側にはミトコンドリア移行シグナルと考えられる配列がある。しかしその遺伝子の配列において開始コドンと考えているATGの上流約120塩基の位置にエクソン-イントロンの境界と思われる配列があるので、現在得られているcDNAは全長ではなくさらに上流に真の開始コドンとミトコンドリア移行シグナルが存在する可能性が考えられる。そこで現在考えているATGが確かに開始コドンであり、それに続く配列がミトコンドリア移行シグナルであることを確認する必要がある。そこで、このATGとその下流約250bpを発現ベクターにつなげ、さらにその下流に発光タンパクであるGFPの遺伝子をつなげた。これをCHO細胞に導入し、インデューサーであるドキシサイクリンを培地に添加したところ、蛍光顕微鏡下で細胞質に斑点上の緑のスポットが観察された。同時にミトコンドリアを染色すると、同じ場所が染色され、GFPがミトコンドリアに取り込まれたことがあきらかにされた。これにより上述のATGが確かに開始コドンであり、それに続く配列がミトコンドリア移行シグナルであることが証明された。そして、現在得られているATP依存性プロテアーゼcDNAのオープンリーディングフレームが全長のATP依存性プロテアーゼ遺伝子であることが確認された。
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