1、分離したラブドーム膜から高塩濃度溶液で表在性蛋白を洗い出した後、1%Octylglucosideで抽出して、ロドプシンとG-蛋白を主成分とする蛋白溶液を得た。この溶液に精製したホスホリパーゼCを加え、緩衝液で希釈することにより、ロドプシン-G-蛋白-ホスホリパーゼC反応系を再構成した。[3H]-PIP2を基質にしてホスホリパーゼC活性を測定し、その活性は光とGTPにより促進されることを確認した。 2、低塩濃度および高塩濃度溶液で抽出された蛋白溶液を、イオン交換とゲル濾過クロマトで分画し、上記再構成反応系におよぼす効果を見た。ホスホリパーゼC活性を促進した2分画をさらに細分画した結果、1つは水溶性(細胞質)G-蛋白と同定された。もう一方の分画中の活性成分は未同定である。 3、上記再構成反応系に精製したロドプシンキナーゼを加えた系では、ATP存在下でホスホリパーゼC活性が抑制された。ホスホリパーゼC活性の変化を指標にして、リン酸化ロドプシンと相互作用する蛋白を検索したが、相当する分画は得られなかった。 4、抗ロドプシン抗体を用いた免疫沈降法により、リン酸化ロドプシンと結合する蛋白を検索したが、相当する蛋白を見出せなかった。 5、以上の結果から、現在未同定ではあるが、ロドプシン-G-蛋白-ホスホリパーゼC反応系を促進する蛋白が存在することが示唆された。リン酸化ロドプシンと結合するアレスチン様蛋白は存在せず、リン酸化のみでG-蛋白との相互作用が弱まる可能性が示唆された。
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