| 研究課題/領域番号 |
13640689
|
|---|
| 研究機関 | 福岡大学 |
|---|
研究代表者 |
西川 道子 福岡大学, 理学部, 助手 (30078563)
|
|---|
| 研究分担者 |
藍 浩之 福岡大学, 理学部, 助手 (20330897)
伊東 綱男 福岡大学, 理学部, 助教授 (40131809)
横張 文男 福岡大学, 理学部, 教授 (20117287)
|
|---|
| キーワード | ゴキブリ脳 / 触覚葉 / 糸球体 / 温度受容 / 湿度受容 / 嗅覚コーディング / 光学計測 / 投射ニューロン |
|---|
| 研究概要 |
昆虫脳における匂い識別機構に関して、異なる糸球体の協調的な活動により匂いのコーディングが行われているという仮説が提唱されている。それを証明する一つの方法として、触角葉の匂い応答の時空間的パターンを膜電位感受性色素を用いた光学計測法により調べた。ワモンゴキブリ触角葉において、6種類の感覚ニューロングループに対応した6種類の匂い刺激によって異なる組み合わせの糸球体で同調的電位変化が生じることが示された。テルペン系の匂いに応答する7個の糸球体、アルコール系の匂いに応答する1個の糸球体、アルコールおよびテルペン系の匂いに応答する8個の糸球体、有機酸に応答する1個の糸球体が同定された。このことは、感覚ニューロンと同じ匂い応答性のカテゴリーの糸球体が触角葉に存在することを示唆する。おそらくこれらの糸球体は、匂い応答性の異なる6つの感覚ニューロングループそれぞれからの入力を受け、活性化したものと推測される。
ワモンゴキブリ触角葉糸球体の三次元構築図作製による構造解析の結果、糸球体数は雄で約135個雌で約140個が計測された。また上記の光学測定の結果、匂い応答特性の同じグループは触角葉内で同一箇所にお互い接して分布する傾向が見られた。
ワモンゴキブリ触角感覚子内の感覚細胞軸索の脳内投射を調べた。接触化学感覚子について電気生理学的刺激応答記録と感覚細胞軸索の染色を試みた。その結果、塩類溶液、ショ糖溶液に応答する細胞軸索が少なくとも5つの触角葉糸球体に投射することが示唆された。機械的刺激は接触、振動、歪みなど物理的特性でいくつかの種類に分けられ、それぞれの刺激受容に適した感覚子が触覚上の特定の部域に存在する。ほとんどの機械受容細胞軸索は中大脳背側葉を経由して食道下神経節へ終末するが、それらの軸索の投射部域や分枝の形態などからおよそ5種類の経路が示唆された。
|
