研究課題/領域番号 |
13640689
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
動物生理・代謝
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
西川 道子 福岡大学, 理学部, 助手 (30078563)
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研究分担者 |
藍 浩之 福岡大学, 理学部, 助手 (20330897)
伊東 綱男 福岡大学, 理学部, 助教授 (40131809)
横張 文男 福岡大学, 理学部, 教授 (20117287)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | ゴキブリ脳 / 触覚葉 / 糸球体 / 温度受容 / 湿度受容 / 嗅覚コーディング / 光学計測 / 投射ニューロン |
研究概要 |
昆虫触角からの種々の感覚情報が中枢でどのように処理統合されてゆくかを追跡し、触角感覚情報に関する脳内機能地図の作成を目指した。 ワモンゴキブリ触角感覚子内の感覚細胞軸索の脳内投射を調べた。接触化学感覚子について電気生理学的刺激応答記録と感覚細胞軸索の染色を試みた。その結果、塩類溶液、ショ糖溶液に応答する細胞軸索が少なくとも5つの触角葉糸球体に投射することが示唆された。機械的刺激は接触、振動、歪みなど物理的特性でいくつかの種類に分けられ、それぞれの刺激受容に適した感覚子が触覚上の特定の部域に存在する。ほとんどの機械受容細胞軸索は中大脳背側葉を経由して食道下神経節へ終末するが、それらの軸索の投射部域や分枝の形態などからおよそ5種類の経路が示唆された。 触角葉糸球体の三次元構築図作製による構造解析の結果、糸球体数は雄で約135個雌で約140個が計測された。個々の糸球体はそれぞれ匂い情報に関する機能単位と考えられ、匂い識別機構に関しては異なる糸球体の協調的な活動により匂いのコーディングが行われているという仮説が提唱されている。それを証明する一つの方法として、触角葉の匂い応答の時空間的パターンを膜電位感受性色素を用いた光学計測法により調べた。ワモンゴキブリ触角葉において、6種類の感覚ニューロングループに対応した6種類の匂い刺激によって異なる組み合わせの糸球体胴調的電位変化が生じることが示された。さらに匂い応答特性の同じグループの糸球体は触角葉内で同一箇所にお互い接して分布する傾向が見られた。 中大脳触角葉糸球体から前大脳へ湿度・温度情報を運ぶ投射ニューロンを5種類同定し、湿度・温度感覚の脳内処理経路に関する知見を得た。これらの投射ニューロンの軸索の側枝や終末部域は全て共通していることから、湿度と温度情報は同じような処理経路を辿ると考えられる。
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