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2002 年度 実績報告書

原始的単子葉植物の種レベルの分子分類地理-表現系と遺伝子型の地理的変異の同調性・非同調性に着目して-

研究課題

研究課題/領域番号 13640699
研究機関大阪市立大学

研究代表者

田村 実  大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20227292)

研究分担者 布施 静香  兵庫県立人と自然の博物館, 研究員 (30344386)
キーワード分子分類地理 / ソハヤキ / 分子系統 / trnK遺伝子 / 単子葉植物 / ユリ科 / ショウジョウバカマ属 / チゴユリ属
研究概要

本研究では,典型的な原始的単子葉植物の広義ユリ科に含められる植物(ショウジョウバカマ属,チゴユリ属,チシマゼキショウ属,アマドコロ,ソクシンラン,キンコウカ)のDNAやアロザイムを調べることにより,各種,各分類群の分化や分布域拡大の歴史を推定した.
1.ショウジョウバカマ属
葉緑体のtrnK遺伝子5'イントロン領域とmatK遺伝子の塩基配列を解析し,分子系統を構築した.この属は第三紀周北極要素で,北米東部のヘロニアス属を分化させた後,基本的には日華区系要素となり,次に中国〜ヒマラヤのイプシランドラ属を分化させて日本・韓国・台湾に分布域が限られた.属内では,(1)北海道・本州・四国のショウジョウバカマ,(2)琉球のコショウジョウバカマ,(3)ソハヤキ地域・琉球・台湾の種群に分かれた.(3)の中ではトカラ海峡を挟んでソハヤキ植物群と琉球・台湾産植物群に分かれた.その後ソハヤキ植物群の中で近畿・中国・四国地方に分布するシロバナショウジョウバカマから関東・中国・四国・九州地方に分布するツクシショウジョウバカマが分化したと推定された.後者の一部が関東地方に隔離分布する理由は現段階では不明である.
2.チゴユリ属
葉緑体のtrnK5'イントロン領域,atpBとrbcLの遺伝子間領域,trnKとtrnFの遺伝子間領域の塩基配列を解析し,分子系統を構築した.まずホウチャクソウ群とチゴユリ群に分かれ,次に前者の中で(1)中国産種と(2)日本・韓国・台湾産種に分かれた.(2)の中ではソハヤキ地域・琉球の植物群がまとまって分化したと推定された.
本研究の結果,原始的単子葉植物の分化・分布域拡大の歴史の中に,中国〜ヒマラヤ産植物群と日本・韓国・台湾産植物群とに分化→ソハヤキ地域・琉球(・台湾)産植物群の分化→トカラ海峡を挟んで北と南の植物群に分化というパターンが存在する可能性が示唆された.

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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