研究概要 |
アピコプラストの起源と進化の過程を明らかにするとともに、アピコンプレックス類の系統進化を解明することを目的として研究を進めている。本年度はアピコンプレックス類内部の分類群相互の系統的位置関係の解析、およびアピコンプレックス類を含む大きな分類群アルベオラータの真核生物全体の中での系統的位置づけの解析を行なった。 アピコンプレックス類に属する生物種、Cryptosporidium muris, Toxoplasma gondii, Plasomodium falciparum, P. vivax, P. malariae, P. coatneyi に関し、リボソームRNA、,ペプチド鎖伸長因子、ヴァリン-およびイソロイシンtRNA合成酵素などの遺伝子の配列を決定し、オリジナルデータを含めてアライメント、分子系統樹解析を行なった。さらに、これらを含め上記解析のために利用可能な全ての分子種による分子系統樹解析、および個々の分子系統樹解析の総合評価を行なった。その結果、現在までに以下のことが明らかとなっている。 (1)アピニコンプレックス類内部では、Cryptosporidium属の分岐が最も早い。 (2)リボソームRNAの解析ではアピコンプレックス類が渦鞭毛藻類に近縁であり、これらの共通祖先の姉妹群が繊毛虫類であることが支持され、これら3つはアルベオラータとして単系統群を形成する。ただし、一部の分子種の解析結果は必ずしもアルベオラータの単系統性を支持しない。 (3)真核生物全体の系統樹において、アルベオラータはストラメノパイルと近縁である。
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