研究概要 |
本年度実施計画の下記の3項目について以下の成果が得られている。 気相エピタキシャル成長は化合物半導体の電子デバイス・光デバイスの作製に無くてはならない結晶成長方法である。この薄膜成長法は希薄原料を気相から供給し、目的とする高品質な結晶を融点以下の温度で成長する方法である。 本申請研究では、研究者あるいは結晶成長技術者が各自の成長装置にマッチした成長条件を入力することにより、各々に対応した気相-固相関係がインターネットを通してその場で得られるシステムの構築を目的とした。特に本研究では、これまで我々が構築してきたGaN, InGaN, AlGaNなどの窒化物半導体システムに各気相分子種の分圧の表示機能の付加、さらに、窒化物以外のInGaAsP, InAsAs, InGaPなどの光情報処理に不可欠な化合物の計算機能の付加を目的とした。 このような「計算サービス」を行うに至った経緯は次のようである。上述のように我々は化合物半導体の熱力学解析を通して、反応過程や気相-固相関係を明らかにしてきたが、一方、世界各地の研究者から各自の成長条件での計算の依頼が多くなされた。このような要望に応えるために、本申請のインターネットを利用した「計算サービス」の構築に着手した。 化合物半導体の気相成長に関する研究は業績リストに示した通り、殆どのIII-V族半導体およびII-VI族半導体に対して解析を進めた。また、成長方法もハロゲン系気相エピタキシー法、有機金属気相エピタキシー法、分子線エピタキシー法と全ての気相から原料を供給する成長法に適応している。さらに、高速な計算手法の開発を手がけ、大量の計算を処理できるシステムの再構築に成功した。この新しい手法により、これまでの約100倍以上早い解析が可能になり、窒化物半導体のみならずより多くの化合物半導体への適応が可能になる。また、現システムが化合物半導体全てを網羅する「計算サービス」拠点になるものと期待される。
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