研究概要 |
窒素ラディカル・スパッタ法によってアモルファス窒化炭素a-CN_xを創製した。さらに1層a-CN_xを作っては原子状水素で処理するレイヤー・バイ・レイヤー法(LL)を導入しLLa-CN_xを創製した。これらの方法によって欠陥密度がDLCなどに比べて小さく光感度σ_p/σ_dが5x10^6という水素化アモルファスシリコンよりも50倍ほど大きく光伝導体、絶縁物としての応用が期待できる。特にULSI用の体誘電率媒体として誘電率を1.9まで下げることに成功した。さらに小さな誘電率を得るため酸素プラズマを用いたLL法によってLLa-CN_xO_y膜の創製にも成功し、物性を調べている。光伝導体としてCPM,PDSを用いることによって伝導帯の複雑な構造を明らかにすることが出来た。最近癌治療に有効な方法として炭素を用いた重粒子治療が日本とドイツで開始された。a-CN_xとLLa-CN_xはアモルファスであり放射線に強いという特徴を持っている。a-CN_xとLLa-CN_xを用いた二次電子型重粒子検出器を放医研と共同で研究を開始し有効性が現れかかっている。LLa-CN_xO_y膜については光伝導を解析することによって2eVと4eV近辺にバンド端を明確に見ることが出来た。大きい方のバンドは窒素のローン・ペヤ価電子帯からσ*反結合バンドへの遷移にもとづくものと考えられる。このバンド・ギャップの大きさが酸素プラズマ処理によって制御出来ることも分かってきた。
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