研究課題/領域番号 |
13650009
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
高野 泰 静岡大学, 工学部, 助教授 (00197120)
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研究分担者 |
角谷 正友 静岡大学, 工学部, 助手 (20293607)
福家 俊郎 静岡大学, 工学部, 教授 (00022236)
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キーワード | MOCVD / InGaAs / グレーデッド層 / クロスハッチパターン / GaAs基板 / 転位 / オフ基板 / TEM |
研究概要 |
GaAsオフ基板上にInGaAsをMOCVD(有機金属気相成長)法で成長させた。グレーデッドバァッファー層を途中に使用した。成長層をX線回折で評価した。オフ基板を使用することにより、InGaAs層中の転位の分布は均質化する方向に向かうことが解った。研究目的の一つは、オフ基板を使用することにより達成された。転位分布の均質化により表面のクロスハッチパターンはより細かくなり、表面荒さは減少したと考えられる。表面荒れの減少度はオフ基板のオフ方向に依存していることが発見された。ジャスト基板上でも時々平坦なInGaAs層が得られたが、再現性はきわめて悪かった。In組成が0.35のInGaAs中の貫通転位密度を平面TEM観察で評価した。ジャスト基板上に比べ、オフ基板上のInGaAs中の貫通転位密度は明らかに少なかった。また上記試料に対してPL測定を行った。オフ基板の方がジャスト基板よりもきわめて強くかつ再現性よくInGaAsが光っていた。以上のことから、オフ基板上では転位導入分布が均質化しているために、結晶性(面方位分布)が良くなっていて、貫通転位密度が減少していると考えられる。 モデル計算では導入転位数は結晶方向によらないと予想されるが、実験結果ではオフ方向に垂直な転位が優先的に導入されるようである。転位導入は応力だけではなく、表面のステップがきっかけになっているのではないかと考えられる。転位を傾斜断面TEMで観察した。グレーデッドバァッファー層中の成長初期段階から転位の増殖が頻繁に観察された。成長の最初の段階で転位分布がほとんど決まっている可能性がある。この部分を次年度明らかにする。 MOCVD法でも高品質InGaAs/GaAsは作製可能であることがはっきりした。
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