PbSe(111)結晶成長表面からの微小角入射X線散乱強度の表面の二次元核成長に伴う強度振動の解析を、運動学的散乱理論と動力学的散乱理論のそれぞれに基づいてさらに進め、また、微小角入射X線の散乱X線二次元強度分布測定の実験結果とX線エネルギーの二次元分布結果を解析、「X線同時検出システム」に必要な仕様を策定した。 CCD素子を利用したX線エネルギー二次元検出システムで測定した、散乱X線の測定実験から、測定に利用する入射X線光源は、現在の回転対陰極X線源(15kW)で十分過ぎる光量があることが分かり、さらに、小さなポータブルX線源でも利用可能なことが分かった。この結果を利用して、「X線同時検出システム」を設計する際に、X線散乱光による材料表面を観察できる新しいX線顕微鏡としても利用できる形に設計し、幾つかの実験を行った。 試料表面からの散乱X線がX線2次元検出器に到達する場合の伝達関数を求める実験を行い、非等方性散乱やCCD暗電流ノイズなどのために、CCDで得られた2次元情報を解析処理することのみによって試料表面情報を得ることは精度上困難であることが分かり、ピンホールスリットを用いて伝達関数に制限を加え、さらにピンホールスリットを移動して測定した強度分布を足し合わせることで、ひずみのない2次元情報を得る方法を見つけ、その効果を確認した。また、さらに、CCDに入射するX線の角度を制限した多数のピンホールを配置するなどの工夫を考案し、「X線同時検出システム」を組み上げた。この装置で、平成14年度には試料表面の元素マッピングの可能性を探る実験も行う予定である。
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