多結晶表面に微小角入射し回折したX線強度の入射角依存を調べ、その強度解析を行うことによって表面から深さ方向の結晶構造の分布を求める新しい解析法を見出した。ある深さの結晶に照射されるX線強度が入射角によって異なることを利用して回折X線強度の入射角依存から回折を起こした結晶の表面からの深さ方向分布を求めた。 CCD素子を利用したX線エネルギー二次元検出システムに、X線コリメータを組み合わせることによってCCDに入射するX線の角度を制限しX線散乱光による材料表面を観察できる形にX線同時検出システムを組み上げた。この装置において、まずCCDの複数のセルでX線を同時検出する実験を行い、得られたX線2次元強度分布を差分演算処理することによってコリメータとCCDによる構成セルの大きさよりも高い分解能で試料表面の2次元情報を得るととが出来ることを見出した。次にこの装置を使ってCu、Fe、Tiの試料からの蛍光X線を観測する実験を行い、CCDに入射するX線のフォトン1個分の計測を行い、試料からの蛍光X線強度とバックグラウンドノイズの量の比較を行った結果、6.4keVのX線に対し約O.1keVのネルギー分解能を得ることが出来、今回使用した簡易な装置でも十分X線のエネルギーを分解できることが分かった。 また、この装置を使って、超高真空中の結晶成長表面にX線を微小角で照射し、小角散乱したX線と同時に、大角散乱したX線と非弾性散乱したX線のそれぞれの二次元角度分布を測定する最適な条件を探るための実験を行っている。これまでの研究から、結晶表面に向かい合った位置に配置するX線二次元検出器を真空槽内に配置できれば、この検出器により同時測定することにより新しい解析情報が得られることが分かり、その実験手法の準備を進めている。
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