研究課題/領域番号 |
13650023
|
研究機関 | 熊本電波工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松田 豊稔 熊本電波工業高等専門学校, 情報通信工学科, 教授 (00157322)
|
研究分担者 |
西山 英治 熊本電波工業高等専門学校, 電子工学科, 助教授 (00237752)
伊藤 日出男 産業技術総合研究所, サイバーアシスト研究センター, デバイスグループリーダー
|
キーワード | 周期構造 / Moth eye効果 / 光共鳴吸収 / 安浦の方法 / 最小二乗法 / 並列計算 / フォトニック結晶 |
研究概要 |
本研究では、生物にある微細周期構造による光吸収特性のメカニズムを解明することを目的として研究を行い、以下の成果を得た。 (1)表面観察 夜行性の蛾の角膜に微細周期構造があることは知られていたが(Acta Physiologica Scandinavia Vol.63. P19)、本研究では蛾以外の昆虫(トンボや各種蝶)の角膜について走査電子顕微鏡による観察を行った。そして、キリシマミドリとモルフォキプロスといった蝶の眼(単眼)の角膜には直径0.1μmで高さが0.2μm程度の突起が周期0.2μm程度で2次元的に配置されており、Moth eye効果と同様の2次元周期構造が確認できた。 (2)計算機シミュレーション Moth eye効果に代表される角膜にある微細構造の特徴は、深い溝を持つ2次元の周期構造であり、本研究ではこの深い周期構造による平面波の回折問題を解析するための安浦の方法に基づくソフトウェアの開発を行った。今回提案する解法は、周期構造の突起を多層膜で近似することにより、角膜に存在する高い突起(周期0.2μmに比べて突起の高さ0.2μm)の周期構造の光学特性の解析が可能になる。なお、近似する多層膜の層数の増加に伴う数値処理量の膨大な増加に対応するために連続蓄積を伴う最小2乗法を導入し、数値計算時間を数十分の一まで減少させることができた。 (3)実験 昆虫の角膜を構成する材料の光学的性質を知るために、屈折液(屈折率の値が既知の試薬)を用いて角膜の屈折率を測定するための基礎実験を行った。この実験と平行して、昆虫の角膜の反射スペクトル特性と透過スペクトル特性を測定するための実験装置の立上げを行っている。 昆虫の眼の角膜にある微細周期構造は、ナノサイズのフォトニック結晶として捉えることができ、その反射・透過スペクトル等の光学特性を理論的にまた実験的に求める研究を今後も引続き行う予定である。
|