研究課題/領域番号 |
13650024
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 琢二 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (20222086)
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研究分担者 |
野田 武司 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (90251462)
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キーワード | InAs細線 / 薄膜構造 / 導電性探針AFM / レーザ光照射STM / GaAs巨大ステップ / ショットキ障壁 / 表面電位 / 微分コンダクタンス / 光吸収特性 |
研究概要 |
ケミカルビームエピタキシ(CBE)法によってGaAs(110)面微傾斜基板上にGaAs巨大ステップ構造を作製した後、この巨大ステツプ端へのInAsの選択的成長を利用してInAs細線および薄膜構造の結晶成長を行った。これらの細線・薄膜構造を導電性探針AFMならびにレーザ光照射下STMなどのナノプローブ法によって評価した。まず、導電性探針AFMによる電流計測の結果、表面がInAsで覆われた領域では下地のGaAsが現れている場所に比べて非常に電流が流れやすくなっていることがわかった。これはInAs/GaAs界面のショットキ障壁の抑制効果によって説明できる。同時にこの手法により、GaAs巨大ステップ構造に沿ってInAs細線構造が制御性よく作製されていることが確認された。次いで、同じ試料に対して、導電性探針AFMで探針試料間に働く静電引力を利用して表面電位を決定する、いわゆるケルビンプローブフォース顕微鏡(KFM)モードでの評価を行った。その結果、InAs細線の電位は周囲のGaAsに比べて負の方向に大きいことがわかった。これは、InAs細線中に電子蓄積が生じていることを示唆しており、この試料で細線に平行な方向に電圧を印加することで、InAs細線による電子伝導が実現できる可能性を示している。一方、レーザ光照射STMにおいては、通常のトンネル電流制御の状態でバイアスに微小交流電圧を重畳し、微分コンダクタンスの光応答測定を行った。この手法により、基板からは電気的に分離している表面1nAs細線/薄膜構造の光吸収特性の測定が可能となった。GaAsでは吸収されない長波長のレーザ光を照射した結果、微分コンダクタンスの光応答像においてInAs細線領域を可視化することに成功した。
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