研究概要 |
(1)3次元的成長 電析したニッケル薄膜の成長が3次元的成長をする場合、表面粗さは、当初予想していた標準スケーリング関数ではなく、anomalousスケーリング関数 【numerical formula】 に従う。ここでLは、系の大きさ、lは、Lから切り取った窓の大きさ、β*=(ζ-ζ_<loc>)/zである。これは、これまでにない実験結果であり、スケーリングは、ζ_<loc>とζによって決定され、ζは、実験条件に依存し、ζ_<loc>は、系の詳細に依らない指数を意味している。 実験結果は、(a)直流電流のとき、local roughness exponent ζ_<loc>=1、global scalingexponent ζ=2.8、dynamic exponent z=4.1、優先成長方位 (111)、パルス電流のときζ_<loc>=1、ζ=2.1、z=1.0、優先成長方位 (111)、(220)、(311)であった。3次元的成長は、super-rougheningと呼ばれる他の薄膜成長とは異なる成長機構であり、電流が定常とパルスでは、X線回折から成長優先方位の相違があるが、成長機構に変化はないと結論付けられる。 (2)2次元的成長 電析したニッケル薄膜が2次元的成長(エピタキシャル成長)をする場合、表面粗さは、当初予想していた標準スケーリング関数に従い、AFM像の解析結果からα=0.25,β=1.0であり、Edwards-Wilkinsonユニバーサリティクラス(MBE成長に相当)に属することが判明した。従って電気めっきの2次元成長は、線形な表面拡散が支配し、その駆動力は、表面の化学ポテンシャル勾配であり、エピタキシャル成長に必要な十分な拡散長を有する。実際、定常電流下、成長速度0.2monolayer/secの成長速度、(100)ニッケル単結晶上への2次元的成長成長が成長時間10000秒までの間で確認された。
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