走査電子顕微鏡(SEM)との複合化によって、走査プローブ顕微鏡(SPM)に機動力を与え、所望の極所部位に対する観察・作業を簡単にすることが本研究の最終目的である。その中で、本補助金交付研究期間内では、様々な問題点及び解決法についてまとめることと、複合装置が完成した場合の有用性を実験データで示すことが必要である。H13年度研究計画・方法で述べた通り、現在の作業はSEMの改造と、本研究費で購入したSPM(AFM)を用いたSEMとの各種比較検討を行っている。新たに判明した知見や装置開発・改造状況は以下の通りである。 1.SEMディジタル走査に関しては、予定通り進行している。ラスタースキャンのみならず希望の走査が可能になりつつある(磁界偏向レンズの問題あり)。 2.試料移動ステージのPCコントロール及び精度には問題がある。SEM-SPM複合装置として考えていく場合には更に精度の高い制御・装置が必要である。 3.SEMから2D・3D情報を取得し、AFM情報との比較検討を試みている。互いに問題があり解決すべき項目が多いが、両者が"相補的"関係にあることは間違いない。 4.SEM、SPM装置の性能・性質・利用目的は多岐にわたり、本研究もある程度方向性を定める必要が生じてきた。一般には、観察部位の位置決め、SPMプローブ先端観察、LSIプロセス評価、微細加工・組み立て等に関して需要があるが、汎用ではなくどの方面に重点を置いていくかが重要である。 5.SEMとAFMの装置を複合化する場合、装置間の相性が大きな問題になってきた。SEM試料ステージはZ方向に弱く、AFMのカンチレバーセンサーはレーザーを使っているのでSEMでは困る。別方式の検討が必要である。 次年度は、複合装置から得られるべき情報の有用性を確認する。具体的には、SEMの高速な走査・視野移動・倍率可変、元素分析機能、SEMデュアル検出器法による凹凸測定、AFMプローブ先端状態の確認等の機能を、AFMと組み合わせた場合の利点及びその潜在能力を評価する。
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