本研究に関する成果として、 1)オフラインでSEMとSPMの特徴を比較検討し、理想的に2つの装置が組合すことができた場合の相補的メリットを十分に議論した(高分解能表面観察・分析には、両者の特徴を組み合わせることは必須である)。また、今後重要になる各種プローブ部分の容易観察必要性も検討した。 2)具体的装置構成としては、走査電子顕微鏡と走査プローブ顕微鏡を組み合わせる場合、Variable Pressure(VP)SEMとAFM(第一段階として)のペアが適していることが多くの実験結果から導かれた。過去の数少ない類似研究は、高真空領域のみを想定したものであるが、申請者は上記組み合わせ(可変圧力状態でのSEM-AFMが、より多くの分野において活用できる装置の開発につながると確信している。また、多くの研究分野において、SPM観察部位の特定がことが難しい研究の支障になっている場合が予想以上に多いことも判明した。 3)SEM本体による3D形状測定装置を自作し、高速・広領域3D観察(ただしZ方向に対しては低分解能)とAFMの低速・狭領域・高分解能3D観察の相補的利用の可能性を実験し研究の方向性の正しさを確認した。 4)研究初頭に想定していた、カンチレバーに工作して両顕微鏡で同一視野を観察する方式は、原理的に難しく、PC-controlled SEMのモータ駆動ステージとの組み合わせが必要なことが判明した。 5)AFMを超小型化するためには、駆動系にピエゾ型ではなくボイスコイルスキャナを採用する。検出系としてはレーザー光学系だけでなくカンチレバーのたわみを抵抗値変化から検知するセンサーも検討している。 6)AFMの利用頻度は大気圧がほとんどである。VP-SEMを改良して真空圧力可変範囲を拡大する必要がある。本研究室のVP-SEMの改良は容易で、既に1-540Paの試運転を開始している。 7)VP-SEM信号のクオリティーの向上が必要である。申請者独自の研究である、Heガス導入による画質向上技術の利用が重要である。
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