研究概要 |
微分干渉顕微鏡では,ノマルスキープリズムにより偏光が互いに直交する光波を顕微鏡の分解能以下の微少量横ずらしさせて標本に照射し,試料による反射・透過後,再び合波・干渉させることによって物体の傾斜や細胞膜などの位相分布の微分像を観察することができる。(共焦点)微分干渉顕微鏡に位相変調機構を付加した位相変調型微分干渉顕微鏡(RM-DIC)を開発し,微小屈折率分布の絶対値の計測を可能とした。しかし,標本の屈折率差が大きくなると回折効率が上り,瞳の制限による光量の欠損が生じる。本年度は,この回折光の影響を考慮して解析を行う方法について検討を行った。2つのリターデーション量の差画像に含まれる反射率の値は未知数である。反射率は和画像から求めることができるが,和画像には反射率の他に,光学系の瞳の制限で回折光の欠落成分が含まれ,回折効率が大きくなる高段差標本では,これらを分離する必要がある。そこで,回折・散乱成分の除去法として,周波数的な特性に着目しローパスをかける方法と,回折・散乱成分が支配的なリターデーションなしの画像と和画像の相関をとって分離する方法を提案し,実験で確認した。また,屈折率差が増加すると回折効率が上昇し,落射型の計測では屈折率差が4分の1波長になると像は形成されなくなる。また,それ以上の屈折率差になると位相が反転してしまい凹凸の判別が出来なかった。ここでは3波長の光を用いて計測し,それぞれの結果を比較することにより4分の1波長を越えているかを判定する方法を開発した。高速測定を可能とするために,3板CCDカメラを用いた。
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