研究課題/領域番号 |
13650035
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
伊藤 雅英 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (30150874)
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研究分担者 |
内田 彰子 国際科学振興財団, 専任研究員 (30241813)
谷田貝 豊彦 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90087445)
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キーワード | スペクトル解析 / 共焦点顕微鏡 / 微分干渉法 / 位相差法 / 生体計測 / ノマルスキー |
研究概要 |
ノマルスキー型微分干渉顕微鏡は表面形状の定性的で高感度非破壊な観測法として、半導体工業や生物医学分野で広く用いられている。一方レーザー共焦点走査型顕微鏡は、縦方向の分解能にすぐれている。本年度は共焦点顕微鏡の問題点を解析し、これまで研究を行ってきた位相変調型微分干渉顕微鏡の手法の適用について研究をおこなった。共焦点顕微鏡像によって弱位相物体を観測すると、そのエッジにおいて明線もしくは暗線が観測され、形状の誤検出となる。この効果はエッジからの回折光の干渉効果が原因と思われる。共焦点顕微鏡の結像特性は光学的セクショニング効果(I-z特性)と結像系の伝達関数の積で決定される。I-z特性はピンホール径と結像系の開口数で決まり、光軸方向へのデフォーカスとともに単調減少する。まず、われわれはこの基本特性の解析法を検討し、実験的にその正当性を確認することができた。また、弱位相近似を用いた部分的コヒーレント結像理論を用いて解析を行った結果、スッテプ状の弱位相物体がデフォーカスした場合、強度像が観測される新しい結像式を導いた。このためデフォーカスした場合所定の空間周波数で像強度のピークが生じ、その結果エッジ強調が起こることがわかった。100倍の対物レンズを装着したレーザー走査型共焦点顕微鏡を用いこの現象を実験的に確認した。オートフォーカスモードでエッジ強調効果を確認した。本装置のI-z特性を解析した結果、われわれの理論を用いてレーザー走査型共焦点顕微鏡像のエッジ強調効果を十分に説明できることがわかった。このことから、レーザー走査型共焦点顕微鏡に位相測定法である微分干渉法を適用することで、これまで共焦点顕微鏡では誤検出となっていた、弱位相物体のエッジ付近のデータを補正することが可能であることがわかった。これにより、両方の顕微鏡の調書を生かした、新しい生体計測用の顕微鏡の開発の新しい指針を与えることができた。
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