研究概要 |
波長変換器は、動的な波長ルーティングを行うために必要な要素素子である。変換波長を高速に可変できる可変波長変換回路について検討し、実現可能性を検証することが、本研究の目的である。 変換先の波長を有するプローブ光を入力し、その波長に対する透過率を信号光によって変調することで入力信号をプローブ光にコピーする。まず、入力信号光によって高速にプローブ光を変調する波長変換素子として全光スイッチング素子の特性を検討し、高速動作を実現するために信号光によって高速に屈折率が変化する光カー効果を利用することとした。分布反射器が形成された光導波路中に光カー効果を有する媒質を配置し、屈折率変化によって分布反射器のプローブ光に対する透過率が変化することを動作原理とする。実使用においては、信号光の偏波に依存することなくプローブ光が変調されることが重要である。本年度はInP基板上に成長したバンドギャップ波長1410nmのGaInAsP,を光導波層として用いて偏光無依存な分布反射器の構造を検討し、全光スイッチング素子を試作して偏光無依存動作を検証した。結果として、波長1530nmから1560nmの信号光に対して偏光無依存な光変調動作が実現され、初期の目的が達成された。なお、光変調に必要な信号光強度は、波長1530nmで3.5mWであった。また、プローブ光入力強度に対する変換光出力強度で定義される変換効率は-9dBであり、1530nmから1560nmの波長範囲でほぼ一定であった。
|