研究概要 |
並列光情報処理はその構想ができてから久しいが,実用化には至っていない.一番の理由は論理演算に用いる空間光変調パネルが存在しないことであり,低電圧で高速に動作する光透過型でかつ平面型の光変調器の開発が望まれている.我々は,pin接合を数十対多層に積み重ねて横方向から電圧を印加する独自の構造の平面型光変調器を提案し,素子試作を行ってきた.消光比10dB(電圧7.5V),挿入損8dB,速度1.2MHzの特性が実現してきたが,本研究では更なる高性能化を目指して研究を行った.平成14年度において,1)動作速度の高速化,2)挿入損の低減,3)低消費電力,4)大規模集積化(1000×1000)等の目標を掲げ,下記の成果が得られた. 1)高速化:素子寸法を60μm角程度まで小型化することで,素子容量を減らし,動作速度を120MHzまで高速化することができた. 2)挿入損:素子構造の一部改良により,挿入損4dBを実現した. 3)低電力:pin接合の逆方向耐電圧が低いことが問題であったため,原因について調査した.p型不純物として利用したZn原子の拡散が低い耐電圧の原因であることが判明し,その対策法を考案した. 4)大規模集積化:1000×1000の集積化は実現できなかったが,微細加工技術及びプロセス技術の改善や多数の画素への電気配線の方法などを検討し,大規模集積化に向けての基礎技術を開発した.
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