本報告書は、平成13年度〜平成14年度科学研究費補助金基盤研究(C)(2)(課題番号:13650041)、「カスケード非線形位相シフトによるフェムト秒レーザーパルス光の圧縮」について、その研究成果をまとめたものである。 本報告書は、次の六章によって構成される。 第1章では、三次の非線形光学効果を補償するための初期的位相不整合を利用した第2高調波発生方式について述べた。数値計算結果によると、初期的位相不整合を取り入れることによって、三次の非線形光学効果を有効に補償することが可能となり、第2高調波における時間及び空間的な歪みを抑制することができる。また、エネルギー変換効率の向上にも期待できる。 第2章では、タイプIの非線形光学結晶を用いて初期的周波数チャープを含んだ第2高調波発生における三次非線形光学効果の補償について記述した。タイプI KDP結晶を用いる場合に、入射基本波における初期的周波数チャープを最適化することによって、第2高調波における時間及び空間の歪みを有効に抑制することが明らかになった。また、BBOとCLBO結晶への応用可能性についても検討した。 第3章では、カスケード非線形光学過程に関する理論について述べた。群速度不整合、群速度分散、空間不整合及び回折などの効果が含まれていないと含まれる条件において、解析法及び数値計算法の両面で、カスケード非線形光学過程における基本波及び高調波の振幅分布と位相分布を詳細に討議した。また、タイプI KDP結晶におけるカスケード非線形光学過程の特性についての計算結果も記述した。 第4章では、スモールシグナル利得に関する解析解について述べた。第5章では、考案した時間遅延を用いた光パラメトリック増幅法に関する数値計算を記述した。第6章では、安定した光パラメトリック増幅の最適化設計について討議した。
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