波長と同程度の周期を持つ微小円錐列の上に高屈折率の薄膜を付けることで、高効率な波長選択ミラーが実現できることを理論的に示し、数値シミュレーションによりその効果を確かめた。 微小円錐列は、光の反射を抑制する作用がある。これに高屈折率の薄膜をつけると、薄膜は基板の凹凸に影響された周期変調型の光導波路となる。上部より光が入射すると、入射光の波長が変調導波路と共鳴結合する場合において強い反射をおこす。一方、非共鳴の波長を持つ光波は、微小円錐構造の反射防止効果により、ほとんど反射されることなく構造を透過する。これにより、波長選択性の高いミラー(または光学フィルター)が実現できる。 13年度の研究では、1次元周期の三角形の断面形状をもつ構造を対象に、数値シミュレーションによって、広い波長範囲で非共鳴の反射率を-30db以下にできることを示した。また、入射角度の変化についても、通常の矩形形状のものと比べて、より広い許容角度があることが分かった。また、Crの金属薄膜をマスクとした高密度プラズマエッチングにより、上記のような三角断面形状をもつ石英の微細構造を作製し、真空蒸着によりTiO2の薄膜を形成することができた。現在、波長選択ミラーとしての光学性能を評価中である。一方、微細構造を二重周期にすることで、小さい面積でも高いQ値をもつ波長選択ミラーが実現できることを数値計算により示した。この原理を利用することで光ファイバーの端面で機能する波長選択ミラーが実現でき、光学フィルターや光センサーとしての応用が考えられる。
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