研究概要 |
高度情報化社会を支える半導体集積回路(IC)を迅速に開発するためには、試作ICの動作解析や不具合を検出する電界プローブが欠かせない。従来の電界プローブは、電気光学結晶に適当な波長のレーザ光を導いてICの漏れ電界を検出しており、高速であるが感度不足で信頼性に乏しいという問題を抱えていた。そこで本研究では、電気光学結晶の両面に誘電体多層膜ミラーを蒸着したファブリ・ペロー型光共振器(FPR)を提案する。 本年度は、電気光学結晶の両面に誘電体多層膜ミラーもつFPRの基本動作を解析し、下記の(1)〜(6)を明らかにした。 (1)透過型FPRよりも反射型FPRが各段に優れた光変調機能をもつことを明らかにした。 (2)FPRの感度は、誘電体多層膜ミラーの反射率Rと結晶の光吸収率γに依存することを明らかにした。 (3)R>0.95,γ<0.1のとき、FPRの感度は、これまでの電界プローブの100倍以上になることを明らかにした。 (4)32の結晶点群の中で、23、43m(等軸晶系)、3m(三方晶系)、6(六方晶系)、42m(正方晶系)がFPRに適していることを明らかにした。 (5)点群23ではBSO結晶とBGO結晶が、点群43mではGaAs結晶が、点群3mではLiNbO3結晶とLiTaO3結晶が、点群6ではLiIO3結晶が、点群42mでは、KDP結晶、DKDP結晶およびADP結晶が、それぞれFPRに適していることを明らかにした。 (6)点群23,43m,42m,6では、FPRに好適な結晶方位はただ1つであること、一方、点群3mでは2種類の好適な結晶方位があることを明らかにした。 これらの結果を論文にまとめ、Applied Optics誌に投稿した。
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