反応性プラズマプロセスのモニタリングのためのプラズマ計測法として、従来のプローブ法が持つ致命的な問題点を解決し、様々な特長を持っ"絶縁プローブ法"を、実際のプラズマプロセスに多く用いられているRF放電プラズマに適用する手法について研究を行い、プローブ電流に含まれるRF信号成分を分析して、プローブ電圧の印加によって生じるプローブ電流信号の振幅および位相の変化を、自動的に検出することのできる電子回路を設計試作した。これは、半波長伝送線路を用いたプローブ電流信号検出回路において、測定用プローブと参照用プローブのそれぞれのプローブ電流信号を、それぞれダブルバランストミキサを用いて、放電用のRFからピックアップした参照信号とミキシングし、それぞれのプローブ電流信号の位相・振幅情報を解析することのできるもので、プローブ信号波形を数値的に解析する方法ではダイナミックレンジが40dB程度しか得られないのに対して、本測定回路を用いることにより、ダイナミックレンジをおよそ60dB程度にまで改善することができた。ここに、半波長伝送線路を用いたプローブ電流信号検出回路とは、高周波信号に対する伝送線路の性質を利用して、放電のRFの基本波に対して半波長の長さの伝送線路を介して低出力インピーダンスのアンプでプローブ電圧を供給することにより、プラズマから見たプローブのインピーダンスを高周波信号に対して実質的に接地電位に保ち、接地電位壁に流れる電流をプローブ電流として検出できるようにしたものである。 また、パーソナルコンピュータを用いた自動データ収集・解析システムを構築し、13.56MHzの高周波を用いた実際のRF放電プラズマに対して測定を試み、本研究によるプラズマ計測方法の有用性を確認した。
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