研究概要 |
1.実験の温度環境を整備した。温度コントロールされた水でシリコン分光器とシリコンポリゴンミラーのホルダーを冷やし,両者の温度差を一日0.02℃以内に抑えることに成功した。このことが本実験を遂行する上で重要な技術的な保証である。 2.シリコン単結晶のポリゴンミラーを加工してもらった。ポリゴンミラーの寸法は、下部に10mmの正方体の形状で,その上に3mm四方10mm高さの四角柱で,さらにその上に直径2mm,高さ15mmの円柱となっている。 3.シリコン単結晶のポリゴンミラーの円柱部と四角柱部のX線の反射を同時に取る実験をして,境界条件を考慮した理論で得られた反射角度位置との整合性を検証した。円柱整形された部分の加工ひずみが取り切れていないため,検証の目的達成出来なかった。エッチングで加工ひずみ層を取り,再度検証する予定している。 4.四角柱部の結晶の反射角度位置を検証してみた。円柱形ほど対称性がよくないが,反射の角度位置が単純な理論計算と一致するので,場合によって,この方法で実験を進めることも考えられる。 5.放射光の強度と平行性がX線管球に比べて優れているので,それを実験に利用することが,より精度よくかつ迅速に実験を行うことが出来る。そのためのFZシリコン結晶を加工し,連続スペクトルの放射光から0.06968nm波長を切り出すためのX線を4回反射する一体型分光器(511,-5-1-1,-3-3-3,333)を作った。この分光器の性能をテストして,出射ビームの角度発散は0.5秒角,波長分解能Δλ/λは5xlO^<-6>の性能を有することを確かめた。
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