研究分担者 |
繁野 麻衣子 筑波大学, 社会工学系, 講師 (40272687)
久野 誉人 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (00205113)
山本 芳嗣 筑波大学, 社会工学系, 教授 (00119033)
安藤 和敏 静岡大学, 工学部, 助教授 (00312819)
イリチュ 美佳(佐藤 美佳) 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (60269214)
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研究概要 |
相補性問題とは,n次元空間からn次元空間への写像fに対して,y=fxの等式制約と相補性条件をみたす非負ベクトル(x, y)を求める問題である。写像fのクラスによって問題の難しさは変化するが,特に線形な単調写像fについては,弱多項式時間の解法が提案されているのに対し,単調性を拡張したPO写像に対しては,線形であってもNP完全であることが知られている.しかし現実の問題をモデル化すると,大規模で単調性をもたない相補性問題に帰着されることが多い,本研究の目的は,このような現実の問題から帰着される「単調性をもたない」相補性問題に対する効率のよい解法を開発することである. 平成15年度は,過去2年間の研究成果をもとに,PO写像の相補性問題に適応可能な同次型内点法の開発を行った. 同次型内点法は,線形計画問題に対するGoldman-Tucker方程式を相補性問題に拡張することによって得られる解法であり,問題の解が存在しない場合も有界な点列を生成するという数値計算上好ましい特徴をもつ一方,問題の単調性に大きく依存するため,その一般化が難しいと考えられてきたアルゴリズムである. 本研究ではこれまで,同次モデルの変数の次元数を適当に選ぶことで,単調性をもたないPO相補怪問題にも適応可能な同次モデルの提案と,その理論的な性質の導出を行ったが,今年度はさらにこのモデルを用いたアルゴリズムの開発を行い,その大域的収束性を示し,収束速度に関する議論を行った. 単調性をもたない相補性問題に対して,好ましい性質をもつ新たなアルゴリズムの提案と,その収束性に関する理論的な性質が得られたことから,本研究の目的を十分に果たすことができたと考えている.
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