研究概要 |
片面コーティングにより気密性を保持できるシートを用いて、完全展開時に概ね直径100mm、高さ400mmの円筒になるように、円筒側面が折畳み条件を満たす単一の三角形で構成される様々な折畳み疑似円筒モデルを製作し、圧縮空気の充填により、展開実験を行った。製作したモデルは、折畳み時に円筒の軸方向から見て、正5角形、正6角形、正8角形、正10角形になるモデルで、それぞれに、平重ねタイプ、螺旋重ねタイプ、交互螺旋重ねタイプの3種類の三角形の配置様式を持つモデルの、合計12種類である。展開実験は、1,2,3気圧の圧縮空気で実施し、また、折畳み円筒のみ展開実験に加えて、折畳まれた円筒上に重なりを載せ負荷をかけた状態での展開実験も行い、折畳み様式と展開時間の関係や積載能力の関係などを調べた。得られた主な結果は以下の通りである。 1.展開時の空気圧が、大きいほど完全展開に要する時間は短くなるが、1気圧と2気圧の展開時間の差よりも2気圧と3気圧の差の方がいずれのモデルにおいても小さく、ある空気圧以上では展開時間は変化しないと思われる。また、交互螺旋重ねタイプの5角形モデルは、1気圧では階段状の展開を示したことから、スムーズな展開には、6角形以上の折り数が必要と考えられる。 2.正6角形、正8角形の展開実験から、完全展開に要する時間は、平重ねタイプ、螺旋重ねタイプ、交互螺旋重ねタイプの順に大きくなる。また、平重ねタイプの完全展開に要する時間は、正6角形で約0.80秒、正8角形で約0.95秒、正10角形モデルで約1.3秒であり、折り数の増加とともに展開速度が遅くなる傾向がある。 3.2気圧で展開した場合の積載能力は、正8角形の螺旋重ねタイプのモデルが約800gで最も大きく、いずれの折り数においても、平重ねタイプより螺旋重ねタイプのモデルの積載能力が1.5〜2.0倍程度大きい。
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