平成13年度は、主に、折畳み円筒の製作、実験装置の試作、展開予備実験を行った.折畳み円筒は、片面コーティングにより気密性を保持できるシートを用いて製作され、完全展開時には、直径92mm、高さ400mmの円筒になる。円筒側面は、折畳み条件を満たす単一の二等辺三角形で構成され、圧縮空気の充填により、円筒に展開された。折畳み円筒モデルは、折畳み時に円筒の軸方向から見て、正n角形となる水平折タイプ、螺旋折タイプの2種類の折畳み様式を持ち、予備展開実験から、最適な使用圧縮空気の圧力は2気圧、製作精度を維持できる最大の折畳みの角数nは、n=10のと結果を得た。 平成14年度では、前年度の結果を基に、試験装置の改良を重ね、折畳み様式の異なる十数種の円筒を製作し、系統的に実験を行うとともに、折線をトラス部材と考えた場合の、展開時の部材に生じるひずみの変化を解析的に求め、その結果から、円筒の展開特性の推定を試みた。さらに、不等辺三角形を側面三角形に用いた円筒も製作し、それらの展開特性を検討し、以下の結果を得た。 1.ひずみの解析から、水平折よりもら旋折の場合の方が、また、折畳みの角数nが大きいものほど、展開時の最大ひずみが小さくなり、より抵抗の少ない展開特性が得られることがわかった。 2.負荷を掛けた展開実験は、ひずみの解析結果と良く一致し、n=9の螺旋折タイプの円筒で、最大約1kgの負荷に抗して展開が可能であることが確認できた。 3.展開時間は、負荷の増加に伴い増加するが、その増加は、最大負荷の60〜70%までは余り大きくなく、この範囲での利用が、簡易アクチュエーターとして効率的であることが分かった。 本研究により、折畳み円筒の解析手法と実験手法が確立でき、本研究の範囲では、n=9の螺旋折の円筒が簡易アクチュエーターのとして最適である考えられる。
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