研究課題/領域番号 |
13650072
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
片桐 一宗 岩手大学, 工学部, 教授 (90029893)
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研究分担者 |
笠場 孝一 岩手大学, 工学部, 助手 (00271841)
佐藤 正 岩手大学, 工学部, 助教授 (30003859)
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キーワード | 銅-ニオブ複合線材 / 疲労強度 / 破面観察 / 微視組織 / 伸線加工率 / ニオブ体積分率 / きれつ発生 / きれつ進展 |
研究概要 |
n-situ法Cu-Nb複合線材の室温における引張り及び疲労試験を行い、以下の事項について明らかにした。 1.単芯および多芯複合線材は伸線加工率の増加に伴ないヤング率は大きく変化しないが、0.2%耐力および引張強さが増加する。Nb重量分率の増加に伴ないヤング率は減少し、引張り強さが増加するが、0.2%耐力はCu-20〜30wt%Nbで最低値を示す。 2.伸線加工率が高い線材ほど高応力振幅域では時間強度が高いが、低応力振幅域では加工率にかかわらずほぼ同程度、あるいは逆に低いものの方が耐久限度が高い。低応力振幅域においては、長期の繰り返しひずみにより銅の伸線加工転位組織が回復するため、強化作用が低下すると共に強加工時のNb繊維の損傷のため耐久限度が低下するものと考えられる。 3.Nb体積分率が高い線材ほど高応力振幅域では時間強度が高いが、低応力振幅域では逆にNb体積分率の低いものの方が耐久限度が高い。これらは、高応力振幅域では強度レベルの高いNb体積分率の高い線材の方が繰り返し塑性ひずみ振幅が小さいが、低応力振幅においては、弾性係数の低いNbを多量に含む線材では、それが大きくなるためと考えられる。 4.疲労破面は伸線加工率やNb重量分率に関わらず、Cuシース内でのすべり分離ファセットやsi系の介在物が見られるき裂発生領域、繊維に垂直で巨視的に凹凸の小さいき裂定常進展領域、延性破壊特有のディンプルが見られる最終破壊領域の3つの領域に分類される。 5.発生した微小き裂はCu-Nb繊維内のNb繊維の抵抗により線材に垂直な方向には進展が阻止され、き裂先端近傍の塑性域内のNb繊維の最も弱い部分(欠陥や細い部分、CuマトリクスとNb繊維の端部の界面など)を選択して分岐や偏向を伴なって進展することが縦断面上で観察される。
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