研究概要 |
多種多数のセンサーを取り付けて構造健全性をリアルタイムに評価する構造ヘルスモニタリングは重要な技術の一つであり,多大なメンテナンスコスト削減のである.また,CFRP積層板では,軽微な衝撃で目視できない層間はく離が発生し,圧縮剛性,強度が低下する.この目視検出できないはく離によって,CFRP積層構造物の信頼性は低下してしまい,構造信頼性向上の観点からもCFRP積層構造のヘルスモニタリングは重要である.申請者は,CFRPの炭素繊維の導電性に着目し,強化繊維である炭素繊維がセンサーの役割も果たす電気抵抗変化法を適用し,CFRPの層間はく離発生が検出可能であることを実験的に明らかにし,多点測定によってはく離の大きさと位置が同定できることを実験的および解析的に明らかにしてきた.本研究では,センサー(ここではCFRPに設置されたリード線)をプラグインするだけで自動的に学習が開始され,統計的判定によって既存大型構造の損傷発生検知の判断が低コストで可能となるシステムに着目し(プラグ&モニター型),その具体的な開発を実施することを目的としている.プラグ&モニターのシステムでは,センサー(接続)の自動検知と,統計データ取得の学習ステージの自動設定,センサー故障の自動検知を計算機ソフトで実施するものであり,生物の成長課程での学習に相当する機能を有する.センサー接続用のA/D変換機能を搭載した手のひらサイズのPCにこれらのソフトを搭載し,電気抵抗変化測定のアナログ線を接続して,インターネットに利用されているEthernetでこれらのPCを接続してネットワーク化する.平成14年度では,小型のLINUX端末にA/D変換機能を搭載したインターネット接続型の構造ヘルスモニタリング端末を開発した.また,実機を想定し,平板構造に電流を流して多数の電極で電圧変化を測定するMulti-prove法を開発し,これによって高い精度でCFRP平板に発生したはく離の位置と大きさを同定できることを実験的に示した.
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