研究概要 |
自動車などのように複雑なプロセスで構成されるシステム設計においては,各プロセスの最適化設計(Multi-Level設計,Multi-Objective設計)と同時に最適化(Multi-Disciplinary設計)を図ることが要求される.本研究では,このような複雑なシステムにおける最適設計の確立を目的として,自動車衝突安全性設計における複合領域の最適化手法の確立およびその最適設計を行った.本年度得られた成果は以下のように要約できる. 1.自動車衝突安全性の代表的な前面衝突モデル(フールラップ衝突とオフセット衝突)を用いて,乗員が受ける衝撃による傷害と車体の変形量の同時最適化について検討した.優先順位の多目的最適手法を統計的設計支援システムに取り入れることによって,上記のような設計問題に対して有効な手法を確立することができた. 2.衝突時の車体構造のサイドメンバーは設計あるいは,衝突条件によって異なる座屈モードを生じる.このようなモードが変化する複雑な挙動の設計問題に対して,統計的設計支援システムにモードコントロールアプローチなる概念を導入することによって,効率よく最適化することが可能な手法を確立した. 3.FOA(First Order Analysis)を用いて,より複雑な問題に対して効率よく最適化する手法について検討した.モードコントロールアプローチを導入し,より複雑なサイドメンバーの最適化を行った結果,良好な結果を得ることができた. 4.以上の成果より,複合領域の設計問題に対する基本的なアプローチ手法を確立することができ,衝突安全設計最適化手法の開発に有効な指針を与えることができた.
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