研究概要 |
本研究の遂行を遂行するために大型放射光施設SPring-8の利用を申請した.その結果,「高エネルギーを利用した遮熱コティング(TBC)の内部応力評価」(2001B,実験責任者:鈴木賢治)および「遮熱コティング膜の酸化損傷の検出と残留応力測定」(2002A,実験責任者:鈴木賢治)が採択された.また,2001Bの課題は高輝度光科学研究センターのトライアルユースの指定を受け,試料の高温装置を放射光施設に設置して,本研究課題の実現に向けて実験を進めている. これまでの研究から,高エネルギーX線(72keV)を利用することで厚さ0.2mmのトップコートを透過してボンドコート回折を測定でき,残留応力を十分に測定できることが実証され,本研究の目的の第一を達成できた.ボンドコートの組織観察と成分分析から,ボンドコートはCr相とNi_3Al相の2相になっていることがわかった.これらの実験結果を基にしたリートベルト解析は,72keVの回折結果とよく一致しており,ボンドコートの結晶の正確な同定ができた.ボンドコートおよびトップコートの干渉のないピーク条件は,72keVの波長レベルでは,ZrO_2 511+333およびNi_3Al311回折が残留応力測定に適していることも分かった.これらの結果と,ダイヤモンドスラリーを用いてバフ研磨しながら逐次X線応力測定して残留応力分布を解析した結果と比較を行った. 一方,熱サイクルを与えた試験片を準備しており,それらの実験結果の知見を得るための準備も進めている.これらの研究成果については,3月9日に開催される日本機械学会材料力学部門春のシンポジウムで報告した.
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