研究概要 |
布で構成されたエアバックが高速展開するとき,接触する顔にかすり傷が生じる可能性が大きいと指摘されている.織物の面に衝撃荷重が作用する上,織物と皮膚の相対運動があり,大きな摩擦力によってかすり傷が生じる.これは衝撃時の織物の摩擦特性によるものと考えている.ここでかすり傷を低減するために、織物の衝撃摩擦特性を評価する必要がある。そこで、織物の衝撃摩擦特性を測定出来る装置を目指した。 1)金属ブロックが一定な高さより落下により,織物の衝撃摩擦特性を測定できる装置を提案し、その特性を検討した。衝撃実験において、msecの短時間かつ重複しにくいので、測定用のセンサなどに対して、高い性能のものが要求されている。いくつか検討した結果、軽いハンマ構造、高出力のトルクセンサによる摩擦力の測定、小さい直径の接触円盤、人間の皮膚と相当する衝撃緩和材を貼った円盤などで構成した装置を採用した。織物の衝撃による加速度、衝撃摩擦力と衝撃速度を同時に測定できる装置を製作し、いくつかの織物を測定した。 2)織物のサンプルとして、普通の衣料用の織物F1、エアバックようの織物F2、織物強化ゴムF3を用いて、衝撃摩擦特性を測定した。 a) 3試料ともに衝撃速度が大きくなると衝撃力、摩擦力が大きくなる。衝撃加速度が大きくなると、摩擦力の最大値が大きくなる。ただし、衝撃加速度が一定値以上になると、摩擦力の最大値は安定し変化しなくなってくる。 b)織物表面にシリコンをコーティングしているエアバックの材料は、衝撃緩和と摩擦特性が優れていることが分かった。 c) F1織物に対して、織物にかけた張力が大きくなると、衝撃加速度と最大摩擦力が大きくなるが、エアバック材の織物F2は顕著ではなかった。 参考文献 1.鮑 力民,河盛 雅則,桜井 正幸,日本機械学会北陸信越講演論文集,381-382,2001. 2.高松良介,鮑 力民,桜井正幸,劔持 潔,中沢 賢,日本機械学会北陸信越学生会講演論文集,167-168,2002.
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