研究概要 |
本研究では,有限変形の均質化理論を用いて周期的セル状固体の微視的座屈を解析している.平成13年度の研究成果は,次のようにまとめられる. 1.周期的セル状固体の微視的対称分岐では,分岐点で自発的に生じる微視的変位速度の符号を変えても巨視的状態の変化には影響しないという仮説を提案し,これを申請者の構築した有限変形の均質化理論に適用することにより,微視的対称分岐点で成立する条件を導いた. 2.上述の微視的分岐条件と有限変形の均質化理論を有限要素法により離散化し,周期的セル状固体の微視的座屈を解析するためのプログラムを作成した. 3.複雑な座屈モードが観察されている正六角形ハニカムの面内圧縮座屈を上述のプログラムにより解析したところ,単軸圧縮では単純分岐となったが,二軸圧縮下では多重分岐が生じ,これにより二軸座屈モードや花状座屈モードが生じることが明らかとなった. 4.さらに座屈後挙動の解析を行ったところ,花状座屈モードは変位制御型の二軸圧縮下では生じるが,荷重制御型の二軸圧縮下では生じないことがわかった.また,変位制御型の二軸圧縮下では,微視的分岐が2回生じる可能性があることもわかった. 5.周期的セル状固体の微視的分岐に対する必要十分条件を導くとともに,このような微視的分岐は常に対称となることを示した.
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