研究概要 |
本年度の目的は、結晶化および非結晶化PEEKを母材とする積層状のCFRTPを作成する技術を開発と両材のクリープ変形を調べその温度時間換算則の成立の有無および結晶の影響を検討することである。結晶化度を調整するためDSC装置を用いて、PEEKの結晶化温度と溶融温度を調べた。この結果に基づき融点以上の360℃に3時間保持後急冷処理した非晶状態のPEEKと完全結晶化させたPEEKを母材とする2種のCF強化PEEKを作成した。さらに両材より、〔0,90,±45〕_s、〔90,0,±45〕_sの試験片を作成した。 これら4種の材料について、80℃から200℃の温度域で曲げクリープ試験を行い、温度別クリープコンプライアンス曲線群を求めた。これらの結果より非晶化PEEKを用いたCFRTPでは、通常の成形品に対してクリープの進行が早いだけでなく、フジカルエージングによる非線形挙動の発現が激しいことを確認した。また結晶化にともない弾性率が向上することも確認された、またフィジカルエージングの発現が抑えられることを見出した。また最外層の繊維が引張軸方向に配列した場合には、クリープの発現が抑えられる配向角依存性が確認した。さらに、温度時間換算則の成立の有無を検討するためこれらのクリープ直線群を用いてクリープのマスター曲線を作成した。いずれの材料においてもアレニウスの式に従う温度時間換算則が成立することを見出した。また、任意の結晶化度の素材を作るため結晶構造を、購入した高温顕微鏡装置により観察した。充填繊維の存在のため種々の問題が生じ、定性的・定量的評価までに至らなかったが、これまでの見識より次年度には十分な結果を得られることを確信できた。
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