本研究では圧電素子で精密移動する超小型自走機械に微細金型工具を搭載し、これを試料に打ち付けてミクロン以下の大きさの凹凸形状を精密連続転写加工し、さらに熱可塑性樹脂を充填し、微小な形状を連続形成するシステムを提案する。そして実際機構を設計試作し、加工実験によりその有効性を示すことを目的としている。 本年度は下記の検討を実施した。 (1)圧電共振式微小金型加工用ホッピング工具の設計試作 本課題で提案する鵬は先端に微小金型工具を取り付けた片持ち梁を本体の移動時の変形を起振源とする機械共振を利用してそのストロークを増大させている。工具には特別なアクチュエータを付加せずに加工に十分な振動を得るために、できる限り減衰の小さい振動機構の設計試作を行い、振動挙動を確認した。 (2)超小型精密自走機械への搭載と加工基礎実験 このホッピング工具を搭載できる超小型精密自走機械を設計試作するとともに、実際にホッピング工具取り付けて、加工実験を行った。使用した金型工具は曲率半径0.5ミクロンの半球形ダイヤモンド工具であり、加工対象をアルミニウムとした。加工痕を走査電子顕微鏡(現有)で観察し、それらの大きさや間隔から基本的な性能を確認した。 (3)マイクロ熱源搭載による熱処理システムの構築 次に形成された微少な型にマイクロ熱源を正確に充てながら移動する超小型自走機構を設計製作した。ここでは微小形状に熱可塑性樹脂を充填するために、加工された微小金型に必要な熱源を供給することを目的としている。微小熱源として抵抗発熱体を搭載し、これを上下微動アクチュエータにより駆動している。これにより所定の位置に300度程度の温度まで局所的に熱を与えることか可能になった。この温度特性や処理時間について材料的な観点でも検討を行った。
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