研究概要 |
1.二層試料及び浸炭試料を用いた成形実験 表面部分(スリーブ)と中心部分(コア)で異なる材料とした2層試料での成形時における荷重行程曲線は,スリーブ材,コア材単独での荷重行程曲線を基礎として複合則により説明できる.この事は,各層が完全に接合された試料とみなされる浸炭試料でも同様であった.二層試料ではコア材とスリーブ材が接合されていないため成形品ではコア材が突き出す現象が見られるが,成形中の荷重行程曲線に影響する程ではない. 2.荷重行程曲線に対する解析 まず荷重行程曲線に対する初等解析を行った.基礎としてまず外径を絞るのみの成形を対象とした.その結果特徴的な荷重行程曲線は,コンテナ部に残っている試料は側面全体がコンテナ壁に接触しているのでなく,ダイス部入り口からある高さ(接触高さと呼ぶ)までの範囲であることが明らかにされた. この事はMARKによる有限要素解析によっても明らかにされた.なお,この接触高さはダイス部の面圧と関係しており,この高さが0となる時の面圧は,ダイス入り口部の試料が全面で降伏する時に対応している事も明らかにされた. 二段充てん法に対する有限要素解析では,実験中に示す荷重行程曲線が特徴的な形となる原因が,試料先端部が一段目ダイス入り口,ベアリング入り口,二段目ダイス入り口,ベアリング入り口に達した時曲線の勾配が変わるためである事が示された.
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