研究概要 |
1.最適ダイス形状 有限要素法により二段充てん法と従来法での材料流動の違いを調べた.その結果,前者では円周方向の材料流動が半径方向内向き(歯元方向)の流動を抑えており,これが良好な成形をもたらす原因である事が示された.そこでこの効果をより発揮させるためのダイス形状について,一段目の歯厚,ダイス半角を変化させた有限要素解析を行った.成形性の点からは,一段目の歯厚を厚くすること,また面圧の点からは,ダイス半角を小さくすることが有効である事が明らかにされた.実際にこのダイスを用いた時の成形の様子を有限要素法でシミュレートした結果,充てんした歯車が低い面圧で成形されることがわかった. 2.荷重行程曲線の上下変動に対する解析 有限要素法により成形中の荷重行程曲線を解析すると,荷重に上下変動が生ずる.この原因について調べたところ,ダイスで絞られる要素数がN個,N-1個を繰り返す結果であることが判明した.この上下変動を抑えるには,絞られる時の要素数Nを多くすればよいが,多くしても0とすることは出来ない.適当な要素で解析し,変動の上側の点を通る曲線が実際の荷重を示していることも明らかにされた. このように,二段充てん法に対する有限要素解析は,ほぼ実験をシミュレートしていることが明らかにされ,最適ダイス形状の決定も行える事になった.有限要素法を数多く行えば,最適形状の決定が一層簡単になるものと思われる.
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