研究課題/領域番号 |
13650119
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
打越 純一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90273581)
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研究分担者 |
島田 尚一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20029317)
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キーワード | 近赤外光 / 絶対形状 / 形状測定 / 平面度 / シリコンミラー / フィゾー干渉計 / 近赤外半導体レーザー / 透過参照面 |
研究概要 |
本研究の目的は、放射光用ミラーなどに用いられる単結晶シリコン平面ミラーの絶対形状精度を、近赤外半導体レーザーと近赤外検出器を用いた干渉法により3面合わせを行うことで、ナノメートルの高い精度で測定することにある。以下に本年度の研究実績の概要を示す。 1)近赤外レーザーを光源とした位相シフトフィゾー干渉計を製作した。干渉計の光源には波長1310nmでスペクトル幅0.04nmの近赤外半導体レーザーを用いた。光学素子は近赤外の波長に合わせて、近赤外領域で収差が小さいレンズ、近赤外域で反射率と透過率の比が約1:1のビームスプリッターを用いた。検出器には波長1310nmの近赤外領域で感度を持つ近赤外CCDカメラを使用した。透過参照および被検面には両面研磨したシリコン基板を用いた。光学部品は防振機能を有する光学ベンチに高剛性で支持し、恒温室で測定を行った。 2)位相測定は、参照面または被検面を光軸に沿って、静電容量型変位計内蔵の圧電素子で走査し、画素毎に位相を検出した。位相の算出はNバケット法で行い、位相が±π/2を越える場合は位相接続を行った。 3)参照面と被検面の相対形状は10mm×10mmの範囲でPV値が1.2μmの凹面で、リング状の干渉ノイズの他、多光束干渉による干渉縞歪の影響が残っており、連続する2回の測定値の差はPV値で80nmであった。 4)シリコンは近赤外域においても反射率が高くR=0.309多光束干渉を生じるので、参照鏡の移動に伴う強度変化が正弦波ではなく、Nパケット法では2〜20nm程度の位相誤差を生じる。そこで、強度変化を正弦波に近づけるため、反射防止膜として、厚さをλ/4n(λ=1310nm、SiO_2の屈折率n=1.447、厚さ226nm)に調整した酸化膜をシリコン表面に形成して反射率を下げた。反射防止膜を形成することによって、反射率を0.309から0.0635へ下げることができ、多光束干渉による最大光路差誤差を0.0036nmと十分小さくできると考えられる。
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