研究概要 |
本研究では,いくつかの工程群に従って加工されるワークを矩形型に配置した機械群により生産するシステムを考えた.昨年度は機械台数,レイアウトは所与とし,全機械に全ワーク,全工程の加工用工具セットを配備した状況を考えた.機械,ワークの選択はオークションによるものとし,機械選択における競り値と機械群の関係について検討し,興味ある知見を得た.また,自律的に工具セットを削減し,ワークの流れを創出することの可能性についても基礎的検討を行った.本年度はこれらの成果をさらに発展させるとともに,機械台数やそのレイアウトを自律的に創出する自己組織化レイアウト機能について検討し,有用なアルゴリズムを得た.機械,ワークの選択のための競り値は基本的に距離に関するものとし,全ワーク,全工程の加工用工具セットを有する多数の機械を格子状に配置した初期状態から,繰り返し生産シミュレーションを行うことにより,稼働率の低い機械,使用頻度の低い工具セットを削減する.この専用化により,負荷計算により得られる機械台数と同程度の台数とより少ない工具セット数で所定の加工が可能となる.また,工具セットの適切な配備によりワークの流れも実現できている.なお,運用段階におけるプロダクトミックスの変化や,生産総量の変動に対する方法についても本方法で対応可能であるが,より簡便な方法の開発可能性についても検討し,見通しを得た.当初計画の自動搬送台車の台数設定,パレットチェンジャー台数とその配置については今後研究すべき課題として残された.また,昨年度のシステムからパレット交換ステーションの配置を変更したものに対して,適切な競り値を用いて工具セット削減を行うことにより,ワークの流れだけでなく,ワーク種類に対してグループ化された工具セット配備をえることが可能となり,複数の生産ラインの自律的な創出の可能性も明らかになった.
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