研究概要 |
アジャイル生産の実施プロトタイプとその評価システムを構築するため,本年度は以下の計画に従って研究開発を実施した. 1.自律搬送ロボットの走行制御方式の確立 アジャイル生産の実施プロトタイプにおいて機械設備間の搬送を行うための自律搬送ロボット誘導方式について検討した.現状では,敷設コストやその変更の容易性から磁気テープ誘導方式を採用することとし,それに沿って搬送ロボットが自律走行する制御系を構築した. 2.自律搬送ロボットシステム運用管理方式の確立 複数の搬送ロボットが互いに衝突することなく,効率的な経路をリアルタイムで選択しながら走行するための運行管理方式について検討した.その結果,運行管理用ホストコンピュータが機械設備の荷積み荷降ろし地点や交差点などへの進入時間帯をタイムウインドウとして管理し,互いに衝突しないで目的地に最短時刻に到着する経路探索法を構築したまた,障害物などの不測の事態への対処を考慮して,各搬送ロボットによる自律的な障害物回避や,場合によってはホストコンピュータへの再計画依頼を行う方法も組み込んだ. 3.ハードおよびソフト技術を統合した性能評価用物理モデルの構築 機械設備を摸擬した6台のコンピュータがネットワークで連結され,自律走行のための制御系を組み込んだ搬送ロボット3台が磁気テープ上を走行しながら機械設備問の搬送を行う物理実験モデルを構築し,上述の運行管理方策の性能評価を行った.コンピュータ間で部品情報を自動転送することで生産スケジューリングを行い,その際断続的に発生する搬送要求を3台の搬送ロボットによって処理する。その結果,互いに衝突することなく効率的な経路を走行し,また,計画外の障害物に対しても柔軟に対処できることが構築した物理モデルによって確認された.
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