研究概要 |
リマニュファクチャリングとは使用済み製品を新品同様の状態に再生するプロセスであり,このプロセスでは,製品は完全に分解され,取り出された部品のうちリユース可能な部品は洗浄・再生の後,必要があれば新規部品を加えて再組立される.一般にこのようなリマニュファクチャリングでは,各工程の作業時間が製品や部品の錆などの状況に依存して大きく変わり,また,部品の再加工工程については使用済み製品を分解し,内部に含まれる部品の状態を検査するまで,処理すべき作業すら分からない,という不確定性がある.このため,従来のスケジューリングの方法(すなわち,予めスケジュールを作成し,その通りに作業を実行する方法)をリマニュファクチャリングに適用することはほとんど不可能である.申請者は,これまで,この問題をリアルタイムスケジューリングにより解決する方法を提案してきた.この方法は,予めスケジュールを作成するのではなく,実際に作業を行いつつ,決定すべき事柄(加工機械が次に処理すべきジョブの選択など)が生じたときに,その都度リアルタイムに決定する方法である.本年度は,このリアルタイムスケジューリングにおいて,製品やそれに含まれる部品の状態を観測し,その情報を基にリマニュファクチャリングの各作業(分解,洗浄,検査,再加工)に要する作業時間を推定し,それを用いてジョブの選択などの決定を行う方法を開発した.この方法では,分解,検査,..と作業が進むにつれて製品内部の状態が明らかなになり,作業時間の推定も正確になり,不確定性が減少していく.シミュレーションにより,状態情報を用いない場合との比較を行い,本手法の有効性を明らかにした.
|