研究概要 |
板金の曲げ操作は,プレスブルーキに取り付けられた突き当てゲージに板金部品の一部を突き当て,この突き当て位置を曲げ部の計測基準位置として曲げ部を計測し,実行される.曲げ部の計測基準位置にはすでに曲げられ加工誤差が生じている曲げ部も用いられる.従って,曲げ順序とそれぞれの曲げ操作における曲げ部の計測基準位置の選び方によっては,板金部品の局所的な部分に加工誤差が集中してしまう.実際の板金部品の図面には許容誤差の厳しい寸法が存在し,工程の段階でその寸法部に誤差が集中しないような努力が行われている.そこで本研究では板金部品のある部分に着目し,その部分に誤差が集中しないような曲げ工程を自動的に生成する手法を提案している.この手法中で曲げ順序の生成とそれぞれの曲げ操作における曲げ部の計測基準位置の決定方法について提案した.曲げ順序を決めるときに誤差が集中してはいけないとされている指定された部分を基準面として設定する.そしてこの基準面に誤差が集中しないような曲げ順序生成手法を考える.はじめにCADデータから板金部品の形状サーフェイスモデルと板金部品接続グラフを作成する.次に板金部品接続グラフから基準面をルートノードとしたツリーを作成するこのツリーとサーフェイスモデルを基に以下に示す3つのルールを適用して曲げ順序を求める.(1)位相的に遠い曲げ線分より曲げる.(2)チャンネル形状が抽出されたときはチャンネル形状の曲げ順序に従って曲げる.(3)板金部品の展開状態において同一直線状にある曲げ線分はすべて同時に曲げる.生成された曲げ順序に対し現場で用いられている曲げ部計測基準位置の決定方法を適用する.本手法をPC上に実装してシミュレーションを試みた.その結果,効率良く曲げ順工程が生成でき,かつ指定部に生じる積算誤差を押さえることができた.
|