研究概要 |
平成13年度は,曲線切れ刃のエンドミル加工おける動的切削力の解析ツールの汎用化を中心に,以下の項目について検討した. (1) 曲面を有する被削材加工における切削力解析機能の開発 金型のような曲面加工においては,被削材の形状と工具経路に応じて切削除去部分の形状が異なるため,それらを考慮して切削力を解析する必要がある.そこで被削材の三次元形状を関数定義し,切れ刃とせん断面(変形域)が材料内部にあるか否かを判別しながら切削力を解析する機能を開発した. (2) ラッフィングエンドミルのシミュレーション ニックと呼ばれる周期的曲線切れ刃をもつラッフィングエンドミルの設計では,ニック形状が切削特性に及ぼす影響を評価しなければならない.そこでニック形状を関数定義し,ニックごとに切削モデルを作りながら切削力を解析する機能を開発した. (3) 小径ボールエンドミルの解析 小径ボールエンドミルの場合,切れ刃折損の観点から切削力変動とその大きさを評価することが重要である.そこで,直径0.2mmまでの小径ボールエンドミル加工に対して解析ツールを適用し,その妥当性を確認した.また切削力の上限値を設定することにより,最大生産性基準の切削条件を決定するシステムを試作した. (4) 実切削力データから解析に必要な基礎データを同定する手法 本研究の解析ツールは,基礎データとして二次元切削データが必要であり,このデータベースを整備することは実用上不可欠である.そこで実際の切削力変動データから,二次元切削データを同定する手法を考案した. (5) エンドミル切削過程における動特性評価 工具軸振動の軌跡を計算するために,エンドミル切削過程における動特性について調べた.切削中の振動特性をインパルス応答法で測定し,切れ刃回転角に応じて,動特性が変化することを明らかにした.また切削条件,工作機械主軸が動特性に及ぼす影響を調べた.
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