研究概要 |
1.半溶融双ロールキャスター複合成形装置 半溶融双ロールキャスターをロール成形装置に取り付け,蒲板材の製造→ロール成形を連続して行う成形装置を構築した.縦型,横型のキャスターのタイプを比較検討した結果,高速成形の高速鋳造には縦型双ロールのほうが適していることを明らかにした.溶湯とロールの接触長を一定にして板圧を均一にするためと,静水圧を利用して溶湯とロールの接触状態を良好にするための注湯用ノズルを考案した,その結果,厚さ2mmの板材を,90m/minで成形することが可能であることを明らかにした. 2.鋳造条件 従来の横型双ロールキャスターでは,ノズル(チップ)内での溶湯の凝固が間題になるため,低温鋳造や半凝固注湯は困難である.縦型双ロールキャスターでは重力で下方に溶湯が押出されるためノズル内での溶湯の凝固は大幅に低減され,低温鋳造と半凝固鋳造が可能になり,高速鋳造に有効であることが明らかになった.低温鋳造と半凝固鋳造を行うために機構と操作が容易な傾斜冷却板を使用した.この結果厚さ約1.5mmの薄板を180m/minで作製するに至った.オーストラリアの英連邦産業科学研究所(CSIRO)が作製した薄板の厚さが5mm,鋳造速度は5m/min以下であるので,板の薄化と高速鋳造における本研究の成果は明らかである. 3.各種マグネシウム合金の成形性 AZ31,AZ61,AZ91,AM60の各種マグネシウム合金について,鋳造速度90〜180m/minの超高速領域で薄板の作製を試みた.鋳造用合金であるAZ91,AZ61,AM60は展伸用合金であるAZ31より連続性があった.AZ91,AZ61,AM60についてはロールキャスターによる薄板の作製は可能であることが明らかになった.特にAM60は双ロールキャスターに適しているようである.冷却が十分でないと板の表面が窒化することが判明した.AZ31の連続性の向上および表面窒化の防止のために,板がロールから離れるときの温度を下げる工夫が必要である.このように成形の際の温庶条件の詐細な検討については今後の課題であると考えている. 4.有限要素法による凝固の解析 コントロールボリューム法を用いて,有限要素法によって物質移動を考慮した鋳造解析を行う計算プログラムを開発した.1次元の物質移動の問題こ関しては高精度の結果が得ることができた.双ロールキャスターでの解析に本プログフムを適用するためには,完全凝固位置,安定稼動を与えるロール隙間,ロール回転数を明らかにしなければならないが,ロールと材料の熱伝達条件をどのように与えるかなど,今後工夫する必要がある.
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